モリノスノザジ

 エッセイを書いています

2019-01-01から1年間の記事一覧

ミルキーはなんのあじ?

※7/7の札幌文フリにて無料配布したものです 通学鞄にはいつもミルキーが入っていた。ジュースも菓子も、楽器をケースに収めるまでは甘いものを口にしないのが習性の吹奏楽部員。ミルキーの包みを開くのは決まって部活帰りの自転車置き場で、今日は包み紙にペ…

短歌を詠むこと・文章を書くこと

ふらちな吹奏楽部員だったので、プロの演奏はきいたことがなかった。コンサートに行くのは疎か、CDすらきかない。コンクールの課題曲だって一曲も。まっとうな吹奏楽部員はお手本CDを何度も、場合によってはその曲を演奏するありとあらゆる音源をかき集めて…

文学フリマ札幌に参加します

来る7/7(日)、さっぽろテレビ塔で行われる文学作品展示即売会「文学フリマ札幌」に参加します。出展ブースは「BUGS(お-03)」です。 ▼短歌同人誌『BUGS4』 短歌10首連作「シュガータウン」 札幌文フリ記念のフリーペーパーも無料でお配りします(右)。 ▼森…

まずは「おねえちゃん」からはじめよ

私は長子である。したがって、私には兄や姉がいない。いままで私がそのことに疑問を持つことはなかったし、兄や姉のいない人生を恨むこともなかった。兄や姉のいるだれかをうらやんだことすらない。それなのにどうしてだろう。満ち足りているとは言えずとも…

あたらしいことばを手に入れた

色相環。っていうのか、いろいろな色がぐるっと輪になったあの図が苦手だ。正確に言えば、色相環があるところにつきものの色彩理論。色相に彩度に明度。色はとても感覚的なもののように思えるのに、色を語ることばは理屈っぽくて難しい。たとえば見る人の目…

珈琲中毒

「病は気から」ということばがあるけれど、たしかに心のありようは身体に影響する。というか私の場合、身体は自分でもあきれるくらい心の言いなりになりっぱなしなんだ。ささいなことでも、嫌なことがあればとたんに食欲がなくなるし、ちょっとでもへこんだ…

ふたつの答え

なんだかここのところアニメだとかゲームだとか、自分の好きなものに関することばかり書いている気がしている。他に書くことがないわけでもなければ、ブログで自分の嗜好を漏らすのに味を占めたというわけでもない。幸福なことにここのところは、生きていく…

街中のハミング

それなりに大きくなるまでの間ずっと、鼻歌は自分にしか聞こえないものだと思いこんでいた。きっとだれに教わるでもなく自然にハミングを習得したものだから、他人がしているのを聞いたことがなかったのだろう。 そんな勘違いもどうやら私だけではないらしく…

進路希望に書かない職業

将来の夢を考えるひとつの材料にしましょう、と教師は言った。適職診断。「実は涙もろいほうだ」とか「あたらしいアイデアを考えるのは得意な方だ」だとか、そんな質問に100ばかり回答すると、電算システムによる処理を経て一か月後に「分析シート」が配られ…

やたらとカッコつけるマン

自分が書いたメールを読みかえして、やれやれと思う。それは業務メールでも個人のメールでも同じ。なんならブログの文章だって気を抜くとそうだ。私はやたらと『(かっこ)』を使いすぎる。たとえばこんなふうに。 ・ 明日の午後は〇〇で研修のため不在です…

名探偵ピカチュウ

※映画『名探偵ピカチュウ』等に触れていますが、ネタバレはありません 一時期ボリウッド映画にハマって、インドから取り寄せたDVDを英語でみたりもしていた。インド映画の好きなところは、ストーリーの筋がまっすぐで安心できる結末が待っていること、大人数…

平成の苺大福

ガチャガチャを見かけるとついつい引き寄せられてしまう。いまでは多くのマシンで価格が200円、なかには300円や500円に設定されているけれど、昔は100円のものがほとんどだった。小学生のころ、ゲームショップや本屋の店頭に置かれたガチャガチャになけなし…

きちんと散財

今年も無事ボーナスの時期がやってきて、こころもち財布の紐がゆるみがちになる。それも、夕食に一品小鉢を追加するだとか、ピザにチーズをトッピングするだとか、いつもよりちょっと高価な芳香剤を選んでみたり、Amazonでほしいものリストに入れている本を…

運命の日

2017年3月5日が運命の日、と占い師は言った。 正月なんてものは初詣とか親戚のあいさつだとか、そんなもろもろを済ませてしまえば案外退屈なもので、あまりにも退屈なものだから普段だったらやらないことをやりたくなる。一念発起してジョギングを始めたり、…

豆子、私に香水を

めずらしく、学生時代の友人から連絡がきていた。先日高校時代の同級生と入籍したこと。そして、お相手の方の親族のご意向で、友人にとって異性である私は結婚式に招待できないことが書かれていた。 そんなにショックということもなかった。そういうこともあ…

そんなにかんたんじゃない

天気がいいので朝から洗濯をした。買い出しをして、月曜から職場に持っていく弁当のおかずをつくり終えたところでだいたい乾いている。なんとなくすがすがしい気分になりたい気分だったので、玄関マットだのキッチンマットだの、マットと言うマットをすべて…

お題対策室(りっすんブログコンテスト)

今月16日からエントリーがはじまった「りっすんブログコンテスト」。初日からたくさんのはてなブロガーが記事を寄せていて、読んでも読んでも読み切れないほどだ。けっして賞金20万円につられたわけではないけれど、コンテストなんて言われるとわくわくする…

めとめとスナップ

2、3週間前からグラフィックソフトの自主トレーニングをしているのだけれど、どうもぴったりこない。いや、ピッタリしすぎるのだ。画面上に描いたふたつの図形を近づけると、磁石みたいにくっついてしまう。いやいや今はくっつかなくていいとき、と、カーソ…

母親

「おかあさんが私の中学校のジャージを寝巻にしててヤダ」っていうあるあるがあって、私には特にそれに該当する思い出はないはずなのになんとなく理解できてしまう。私の母は子どもたちのジャージを寝巻にはしなかった。けれど、母は若いころに着ていた服を…

満員電車で踊るには

朝は、Serani Pojiを聞きながら通勤する。 セラニポージは、ゲーム『ROOMANIA#203』に登場する架空のアーティスト。ゲームの主人公・ネジタイヘイはセラニがお気に入りで、放っておくと勝手にセラニポージのCDを聴きはじめたりする。「やっぱセラニはいいな…

野性にロック

かつてチワワが流行ったそのころから、チワワ駄目だなーって思ってた。女性でも軽々と抱き上げられそうな小さなからだ。細い手足。おおきくてうるんだ瞳。それに犬として持ち前のなつっこさときた。あんなにいじらしい動物はほかにいないだろう。あんな生き…

雨をレコードに変える街

平成から令和へ変わるお祝いの、そしてこれまでにない10連休の記念すべき―――翌日。5月7日の朝は雨だった。うすぐらい未明に雨が降りこめていて、それはとても完璧だった。ざあざあでもしとしとでもぽつぽつでもなく、じとじとでもさーさーでもない。完璧な雨…

カワハギ解消法

三味線にはいつまでも納得がいかない。あの白い銅の両面には犬や猫の皮が使われているというけれど、ほんとうだろうか?犬や猫の、いったいどこの部分が?実物の猫に毛が生えていることを差し引いても、生きている猫の皮とは似ても似つかない。猫のお腹、毛…

アダルトが開花する

連休明けてさいしょの二連休にさしかかったいま、10日間の長さをはじめて感じる。7日間分の埃を掃除機で吸い取り、洗濯かごの衣類を洗って干して、ベッドカバーを整え、風呂にトイレに洗面台の掃除。日曜日はアイロンがけと料理の作り置きで一日の半分が終わ…

ラリーしようよ

「クイズ番組を一緒に見てても面白くない人」についてsotto_voceさんが書いていたので(①)、たしかに誰かと一緒にクイズ番組を見るときの適切なふるまい方というのは難しい問題だと言及したところ(②)、ふたたびsotto_voceさんが補足を書いてくださってい…

失われた7日間について

初日とその次の日、凍えるような天気の下を旅行しただけで、バーベキューも花見も手作りパンもキャンプもなくただただ長い休日を過ごしている。それでも思い立って書店に出かけてみたりするのだけれど、出かけるだけでなんだか眠たくなって、何も買わずに帰…

正解はどちら?

sotto_voceさんが「クイズ番組を一緒に見てても面白くない人」について書いていた(クイズ番組を一緒に観てても面白くない人 - もの知らず日記)。「当たったことを自慢する」、「わからなかったことを調べる」あたりはまだ許容範囲か。しかし、「調べた結果…

都合のいい脇役になりたい

バブル時代に存在したと言われる、いわゆる「キープくん」。「アッシー」とか「メッシ―」、「ミツグくん」と呼ばれる彼らの存在を知ったときには、とてもかなしい気持ちになった。女性にとって彼らは愛情を注ぐべき本命の彼氏ではなく、必要なときに都合よく…

せかいは文字であふれてる

ふと気になって書棚から取り出したのはロゴづくりの本。ロゴのことはよく知らない。そもそもロゴってなんだろう?Googleの検索画面を開くと表示されるあのカラフルな文字。アディダス製のジャージの胸元についている「✓」やスタバの人魚は文字じゃないけどロ…

緩衝ガール

視覚・触覚・嗅覚・味覚・聴覚はぜんぶひっくるめて「五感」なんて言われるけれど、たぶん対等ではない。「四天王」と言っても弱いのから順番に主人公から倒されていく、その序列があるように、五感にも序列がある。たとえばいくらおいしいモノでも鼻をつま…