モリノスノザジ

 エッセイを書いています

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

びよんど

なにもはいっていない空のマグカップを手に取るみたいな無造作さで電子レンジからマグカップを取ったものだから、カップから熱い牛乳が漏れて私は親指のつけ根をやけどした。そうだ、牛乳を飲もうとしたんだ、と私は気が付く。この間のサンマのことといい、…

スーパードライにつめたくて

診断を免れるためならドーピングだってした。日ごろから用心して対策をしてきたし、今度こそは間違いなくわからないと思った。けれど日々の生活で積み重なった乾燥は私の角膜に深い傷をきざんでいて、医師の鋭い目はごまかせないのであった。 眼科に行くたび…

ようこそネガティブの国へ?(2/2)

(前の記事:ポジティブ・リバウンド) こうして道半ばでネガティブ治療を断念することとなった私であったが、冷静になって考えてみると、ネガティブは本当にそんなに悪いものなのだろうか。 あわただしかった日々のすべてが終わり精神的にも落ち着いた今に…

ポジティブ・リバウンド(1/2)

一日に何度も死ぬ ところを想像する。地下鉄駅から地上へ上るエスカレーターに乗りながら、これが突然停止して、私の前に立っている人たちがごろごろ転げ落ちてきたら圧死だな。とか、スパイク付きの杖をつきながら雪道を歩くおじいさんが、ころんで、後ろを…

おたのしみはおわらない

(関連記事)広告進化ろん 二日連続でピザの広告を入れられたあげく(一日目と二日目は別々の店だけど)、玄関に三枚目の広告を投げ込まれたことで完全なるピザ受け入れ態勢となってしまった私は、ピザをつくることにした。 ピザのつくりかたを知ってからは…

広告進化ろん

ここのところ、インターネット広告が進化している。以前は、健康食品とか車とか、まったく興味のない商品の広告をみせられることも多かったけれど、最近は私の関心を狙い撃ちにしたような広告が増えてきている。しかもその精度もかなり上がってきているよう…

季節は水道管をつたって

ある日帰宅すると、ポストに紙が入っていた。市の委託業者が置いていったその紙には「漏水の可能性があります」と書かれている。確認してみると、トイレの水がちょぼちょぼと流れ続けていることに気が付いた。 さらに10月の検針票を見ると、水道料金が前回と…

王子のいないプリンセス

あるところに、ひとりの女の子がおりました。女の子と王子さまが結婚すると、王子さまははじめに、王子をやめて大工さんになりました。大工さんになった王子さまは、長い時間をかけて女の子と二人で暮らすためのお家をつくりました。 お家を建てた王子さまは…

サンマがうまい

ここのところ毎日サンマを食べている。仕事帰りにサンマを一尾だけ買って帰る日が続いて、そうしているうちになんだかそれが特別な行為のように思えてきた。 サンマの前はリゾットにはまっていて、4種類くらいのリゾットを毎日朝と晩に代わりばんこに食べて…