モリノスノザジ

 エッセイを書いています

中くらいの(1000~3000字)

珈琲中毒

「病は気から」ということばがあるけれど、たしかに心のありようは身体に影響する。というか私の場合、身体は自分でもあきれるくらい心の言いなりになりっぱなしなんだ。ささいなことでも、嫌なことがあればとたんに食欲がなくなるし、ちょっとでもへこんだ…

ふたつの答え

なんだかここのところアニメだとかゲームだとか、自分の好きなものに関することばかり書いている気がしている。他に書くことがないわけでもなければ、ブログで自分の嗜好を漏らすのに味を占めたというわけでもない。幸福なことにここのところは、生きていく…

進路希望に書かない職業

将来の夢を考えるひとつの材料にしましょう、と教師は言った。適職診断。「実は涙もろいほうだ」とか「あたらしいアイデアを考えるのは得意な方だ」だとか、そんな質問に100ばかり回答すると、電算システムによる処理を経て一か月後に「分析シート」が配られ…

やたらとカッコつけるマン

自分が書いたメールを読みかえして、やれやれと思う。それは業務メールでも個人のメールでも同じ。なんならブログの文章だって気を抜くとそうだ。私はやたらと『(かっこ)』を使いすぎる。たとえばこんなふうに。 ・ 明日の午後は〇〇で研修のため不在です…

名探偵ピカチュウ

※映画『名探偵ピカチュウ』等に触れていますが、ネタバレはありません 一時期ボリウッド映画にハマって、インドから取り寄せたDVDを英語でみたりもしていた。インド映画の好きなところは、ストーリーの筋がまっすぐで安心できる結末が待っていること、大人数…

平成の苺大福

ガチャガチャを見かけるとついつい引き寄せられてしまう。いまでは多くのマシンで価格が200円、なかには300円や500円に設定されているけれど、昔は100円のものがほとんどだった。小学生のころ、ゲームショップや本屋の店頭に置かれたガチャガチャになけなし…

運命の日

2017年3月5日が運命の日、と占い師は言った。 正月なんてものは初詣とか親戚のあいさつだとか、そんなもろもろを済ませてしまえば案外退屈なもので、あまりにも退屈なものだから普段だったらやらないことをやりたくなる。一念発起してジョギングを始めたり、…

豆子、私に香水を

めずらしく、学生時代の友人から連絡がきていた。先日高校時代の同級生と入籍したこと。そして、お相手の方の親族のご意向で、友人にとって異性である私は結婚式に招待できないことが書かれていた。 そんなにショックということもなかった。そういうこともあ…

お題対策室(りっすんブログコンテスト)

今月16日からエントリーがはじまった「りっすんブログコンテスト」。初日からたくさんのはてなブロガーが記事を寄せていて、読んでも読んでも読み切れないほどだ。けっして賞金20万円につられたわけではないけれど、コンテストなんて言われるとわくわくする…

母親

「おかあさんが私の中学校のジャージを寝巻にしててヤダ」っていうあるあるがあって、私には特にそれに該当する思い出はないはずなのになんとなく理解できてしまう。私の母は子どもたちのジャージを寝巻にはしなかった。けれど、母は若いころに着ていた服を…

満員電車で踊るには

朝は、Serani Pojiを聞きながら通勤する。 セラニポージは、ゲーム『ROOMANIA#203』に登場する架空のアーティスト。ゲームの主人公・ネジタイヘイはセラニがお気に入りで、放っておくと勝手にセラニポージのCDを聴きはじめたりする。「やっぱセラニはいいな…

野性にロック

かつてチワワが流行ったそのころから、チワワ駄目だなーって思ってた。女性でも軽々と抱き上げられそうな小さなからだ。細い手足。おおきくてうるんだ瞳。それに犬として持ち前のなつっこさときた。あんなにいじらしい動物はほかにいないだろう。あんな生き…

雨をレコードに変える街

平成から令和へ変わるお祝いの、そしてこれまでにない10連休の記念すべき―――翌日。5月7日の朝は雨だった。うすぐらい未明に雨が降りこめていて、それはとても完璧だった。ざあざあでもしとしとでもぽつぽつでもなく、じとじとでもさーさーでもない。完璧な雨…

カワハギ解消法

三味線にはいつまでも納得がいかない。あの白い銅の両面には犬や猫の皮が使われているというけれど、ほんとうだろうか?犬や猫の、いったいどこの部分が?実物の猫に毛が生えていることを差し引いても、生きている猫の皮とは似ても似つかない。猫のお腹、毛…

アダルトが開花する

連休明けてさいしょの二連休にさしかかったいま、10日間の長さをはじめて感じる。7日間分の埃を掃除機で吸い取り、洗濯かごの衣類を洗って干して、ベッドカバーを整え、風呂にトイレに洗面台の掃除。日曜日はアイロンがけと料理の作り置きで一日の半分が終わ…

ラリーしようよ

「クイズ番組を一緒に見てても面白くない人」についてsotto_voceさんが書いていたので(①)、たしかに誰かと一緒にクイズ番組を見るときの適切なふるまい方というのは難しい問題だと言及したところ(②)、ふたたびsotto_voceさんが補足を書いてくださってい…

失われた7日間について

初日とその次の日、凍えるような天気の下を旅行しただけで、バーベキューも花見も手作りパンもキャンプもなくただただ長い休日を過ごしている。それでも思い立って書店に出かけてみたりするのだけれど、出かけるだけでなんだか眠たくなって、何も買わずに帰…

正解はどちら?

sotto_voceさんが「クイズ番組を一緒に見てても面白くない人」について書いていた(クイズ番組を一緒に観てても面白くない人 - もの知らず日記)。「当たったことを自慢する」、「わからなかったことを調べる」あたりはまだ許容範囲か。しかし、「調べた結果…

都合のいい脇役になりたい

バブル時代に存在したと言われる、いわゆる「キープくん」。「アッシー」とか「メッシ―」、「ミツグくん」と呼ばれる彼らの存在を知ったときには、とてもかなしい気持ちになった。女性にとって彼らは愛情を注ぐべき本命の彼氏ではなく、必要なときに都合よく…

緩衝ガール

視覚・触覚・嗅覚・味覚・聴覚はぜんぶひっくるめて「五感」なんて言われるけれど、たぶん対等ではない。「四天王」と言っても弱いのから順番に主人公から倒されていく、その序列があるように、五感にも序列がある。たとえばいくらおいしいモノでも鼻をつま…

斜めの部屋

明るいトイレはにがてだ。…いや、にがてではないな。きらい、でもない。もったいない、でもない。もちろん許せないなんてこともない。どうしてだかわからないけれど、トイレの明かりは点けない。幼いころからそんな習慣で、朝や夕方のうす暗いトイレも平気だ…

春に試されている

クロッカスも桜も咲かないうちに会社にだけは春がきて、新年度とかいうやつ。人事異動に飲み会に、残務整理、引継ぎ、年度末締め。そういう「いつもと違うこと」に圧迫されている。そういった環境の変化が、どうやら今年は夜眠れない方向に作用しているらし…

おしゃれも戦略から

おととい、約一年ぶりにコンタクトレンズを装着した。うんざりである。ひさしぶりにコンタクトを着けるそのたびに、眼鏡越しにぼんやりと見ていた自分の顔とはっきりとした視界にとらえる自分の顔とのギャップに息が止まりそうになる。唇の縁、粘膜から皮膚…

モテは財産

書棚に伸ばした手と手がふれあって、アラ、ドキ。お互いに顔を赤らめながら本を譲り合ったりして、どういうわけだか場所は喫茶店に移りその本の著者の話に花を咲かせている。帰り際にはしっかり連絡先を交換したりして、なんだか何かがはじまりそうな予感―――…

やりたいことはなんでもやる部

『ボヘミアン・ラプソディ』を観たあとの気分は、なんだか焦りだった。上澄みなのだと思う。たった45歳で亡くなったといってもそれは120分の映画に詰め込むには長すぎる人生で、だから映画は彼が生きてきた人生の一部でしかないし、商品としてデザインされた…

妖精ミズクラシ

妖精ミズクラシは民家の天井に棲み、夜になると子どものような足音を立てて走り回る。このとき、水気のない天井であるにもかかわらず、ちゃぷちゃぷ・じゃぶじゃぶといった水音が聞こえることから「ミズクラシ」と呼ばれている。水音とともにちいさなはしゃ…

座右の銘は、きみにきめた。

それなりに、ばたばたした一週間だった。仕事の分量とか残業時間数といったような問題とは別に、仕事にさしせまった期限があるという事実に精神的に追い詰められていた感じがする。この一週間を乗り切れたのはあきらかに周囲のサポートがあったからで、さり…

「ふつう」について、Yahoo!知恵袋がおしえてくれたこと

ときどき明日のことやいまここにはないなんだかよくわからないなにかのことが不安でさみしくて、なにもしたくなくて、ひどくそわそわしているときがあって、そういうときは本を読んでもちっとも頭に入ってこないし、眠ることすらできなくて、手癖のようにス…

本棚のコカイン

このごろ話題になっているコカインというやつを、本棚から取り出して私も味わってみる。船山信次『〈麻薬〉のすべて』は新書という手軽な形態でありながら、麻薬全般に関する基礎知識や主な薬物の歴史、作用、社会での受け止め方など基本的な事項を網羅して…

飲み会をがんばらない

若いころは、飲み会では面白いことを言えなくちゃって思っていたし、お酒を飲んで羽目を外せるのはいいことだと思っていた。酔いの力で破壊的に場を盛り上げながら、他人に迷惑をかけないようにふるまえる人にうっすらあこがれていた。 飲み会という場におい…