モリノスノザジ

 エッセイを書いています

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

都合のいい脇役になりたい

バブル時代に存在したと言われる、いわゆる「キープくん」。「アッシー」とか「メッシ―」、「ミツグくん」と呼ばれる彼らの存在を知ったときには、とてもかなしい気持ちになった。女性にとって彼らは愛情を注ぐべき本命の彼氏ではなく、必要なときに都合よく…

せかいは文字であふれてる

ふと気になって書棚から取り出したのはロゴづくりの本。ロゴのことはよく知らない。そもそもロゴってなんだろう?Googleの検索画面を開くと表示されるあのカラフルな文字。アディダス製のジャージの胸元についている「✓」やスタバの人魚は文字じゃないけどロ…

緩衝ガール

視覚・触覚・嗅覚・味覚・聴覚はぜんぶひっくるめて「五感」なんて言われるけれど、たぶん対等ではない。「四天王」と言っても弱いのから順番に主人公から倒されていく、その序列があるように、五感にも序列がある。たとえばいくらおいしいモノでも鼻をつま…

斜めの部屋

明るいトイレはにがてだ。…いや、にがてではないな。きらい、でもない。もったいない、でもない。もちろん許せないなんてこともない。どうしてだかわからないけれど、トイレの明かりは点けない。幼いころからそんな習慣で、朝や夕方のうす暗いトイレも平気だ…

春に試されている

クロッカスも桜も咲かないうちに会社にだけは春がきて、新年度とかいうやつ。人事異動に飲み会に、残務整理、引継ぎ、年度末締め。そういう「いつもと違うこと」に圧迫されている。そういった環境の変化が、どうやら今年は夜眠れない方向に作用しているらし…

おしゃれも戦略から

おととい、約一年ぶりにコンタクトレンズを装着した。うんざりである。ひさしぶりにコンタクトを着けるそのたびに、眼鏡越しにぼんやりと見ていた自分の顔とはっきりとした視界にとらえる自分の顔とのギャップに息が止まりそうになる。唇の縁、粘膜から皮膚…

モテは財産

書棚に伸ばした手と手がふれあって、アラ、ドキ。お互いに顔を赤らめながら本を譲り合ったりして、どういうわけだか場所は喫茶店に移りその本の著者の話に花を咲かせている。帰り際にはしっかり連絡先を交換したりして、なんだか何かがはじまりそうな予感―――…

和服はチャンス

ごみ袋みたいになで肩のシルエットをしたステンカラーコートを買った。そんなのがほしかったのだ。そのステンカラーコートが手触りまでもつるつるとごみ袋風であったので、すこしためらったけれど、15分ほど悩んで結局買った。家で袖を通してみると思った通…

やりたいことはなんでもやる部

『ボヘミアン・ラプソディ』を観たあとの気分は、なんだか焦りだった。上澄みなのだと思う。たった45歳で亡くなったといってもそれは120分の映画に詰め込むには長すぎる人生で、だから映画は彼が生きてきた人生の一部でしかないし、商品としてデザインされた…

お風呂にする?お風呂にする?お風呂にする?

大家族の入浴は大変だ。一人が入浴するのに30分かかると仮定して、7人全員がお風呂に入るためには3時間半かかる。途中の人は、最後までお湯が冷めたり減ったりしないよう気をつけなければならないし、長風呂なんてしていたら怒られてしまう。脱衣も迅速に…

妖精ミズクラシ

妖精ミズクラシは民家の天井に棲み、夜になると子どものような足音を立てて走り回る。このとき、水気のない天井であるにもかかわらず、ちゃぷちゃぷ・じゃぶじゃぶといった水音が聞こえることから「ミズクラシ」と呼ばれている。水音とともにちいさなはしゃ…

座右の銘は、きみにきめた。

それなりに、ばたばたした一週間だった。仕事の分量とか残業時間数といったような問題とは別に、仕事にさしせまった期限があるという事実に精神的に追い詰められていた感じがする。この一週間を乗り切れたのはあきらかに周囲のサポートがあったからで、さり…