モリノスノザジ

 エッセイを書いています

きちんと散財

 今年も無事ボーナスの時期がやってきて、こころもち財布の紐がゆるみがちになる。それも、夕食に一品小鉢を追加するだとか、ピザにチーズをトッピングするだとか、いつもよりちょっと高価な芳香剤を選んでみたり、Amazonでほしいものリストに入れている本をまとめてカートに入れてみるなんてささやかな散財だ。しかし、このささやかな散財というやつが性質が悪い。

 いい大人だっていうのにお金の使い方をしらないので、まとまったお金があっても私は思い切ってほしいものを買うことができない。なんとなくもったいなくて使わずに手元に置いておいたお金が、日常のあれこれをちょっとずつ欲張るせいですこしずつ溶けていく。それはもう意識できないくらいの誤差ですこしずつ出費が増えていくものだから、なかなか歯止めも効かない。

 けれどそんな出費は不本意だ。貯蓄に甘えてだらだらと「ちょっといいもの」を選んでしまう。それでいて、出費が増えた分だけ幸せになっているわけでもない。気がついたらまとまって口座に入っていたはずのお金は霧のように消えていて、失ったお金の代わりに得られたはずのものは何も残っていない。

 

 ほんとうにすべきお金の使い方は、自分がほしいものにはここぞとばかりにお金をつかって、現状で満足できるものにはそれ以上払わないことだと思う。それには判断力もいるし、実は頭だって結構使う。むずかしい。きちんとお金を使えるようになるには、やっぱりそれなりに経験を積まなければならないんだろうか?なんて言い訳にもならないことを考えながら、つい今日もポテチをレジかごに積んでいる。

 こまりましたね。