モリノスノザジ

 エッセイを書いています

ふたたびのゲリラ

 少し間があいてしまいましたが、お題企画「ゲリラブ」二回目は11月22日(日)の決行でした。

 今回のお題は「書き出し固定:好きか嫌いかで言うと」。「好きか嫌いか」という二択のお題を出しておきながら、好きとも嫌いともいえないような複雑な感情を引き出せたらよいなあと思っていました。結果、すべて書き出しが同じとは思えないほどバリエーションに富んだ記事が集まり、どの記事もそれぞれ違った気持ちで楽しませていただきました。ご参加いただいたみなさまに感謝です!

   

   

 

 読み始めてしばらくすると雨が、静かにでもそれなりにしっかりと降っているようなそんな感覚に満たされる。「嫌いじゃない」って、自分はどんなときにその言葉を口にしてきただろう?まさに「好き」とも「嫌い」とも割り切れない、いろいろが混ざり合った感情のにおいが私のなかに雨を降らせたのだと思う。

 この企画はSさん(id:odanoura)の恋愛の記憶をくすぐるところがあるのだろうか?笑

普段とはちょっと違ったテイストの記事を読めることに、お題企画の醍醐味をひしひしと感じる。それとも、どこかの誰かさん(id:sourceone)の言うように、このお題には「嘘をつかせない」力があったりするのだろうか?

 

 「好きか嫌いかで言うと」というお題に対して、まっすぐに「好き」とか「嫌い」とか、はたまた「好きだったけど」なんてのが返ってくると思っていたのだけれど、いや、そうといえばそうなのだけれど、とんだ変化球がきた。とりあえず読んでください。

 同じフレーズを繰り返しながら少しずつ変化をつけていく感じ、テーマだけじゃなくて構成を工夫してくる感じ、なんだかうまく言えないのだけれど、なんとなくどこかの誰かさんだなって思ってしっくりきてしまってそこから動けない。いやらしいお題ですみませんでした笑

 

 まったく同じではなくてもところどころ似たような経験をしていて、きっと気持ちも同じような感情を経験している。気持ちは、並べて比べられないからわからなけれど。

 ブログをはじめるときにはてなを選んだのは、なんとなく、どちらかというと消去法で、そのときいくつかのブログサービスのなかから最初に候補から外したのはアメーバブログだった。なんというかそういう、周りに受け入れられたくてはしゃいで、でもうまくいかなくてしょんぼりした記憶が私にも染み付いていて、そんな私がそういうキラキラした場所にいられる感じがしなかったからだ。はてなブログもときどきキラキラしているけど、アメーバブログほどじゃない。

 それでもブログを書いているとときどきキラキラしたくなる。これは別にスイーツの画像をつけるとかそういうのではなくて、なんだかんだあっても人生幸せだよねみたいなそういう、人生充実系のやつである。本当に自分がそう思っているのかはわからない。けど、ブログっていうのはなんだかそういう磁場もあるものだし、はっきりと「自分が嫌い」と書けるのはなんだか勇気のあることだなあと思う。そして、そうやって自分を見つめられる今は、もしかしたら、昔ほど嫌いじゃなくなってたりはしないのだろうか?

 

 なんだか今週はうっかりしていて、そういう自分のせいなのだけれど嫌なトラブルが飛んできたりしてろくでもない。なんとかトラブルを片付けて迎える週末には何か、そう、なにか自分への報酬めいたものがほしいのだけれど、いったいそれはなんだろう?

 わくわくしながらショーケースから選んだケーキも、食べてしまえばそれきりで、誕生日やクリスマスがあんなに楽しみだったあの日とはもう違うんだって、そんなことに気づいてばかりの毎日だ。これが大人になるってことなんだったら、大人って多くの大人がそういうとおり「つまらない」ものなのかもしれない。そんな気持ちから醒めた気がしました。『こんな生き方も「好きか嫌いかで言うと、好き」』、いい言葉だな。

 

 「今、僕のことを、好きか嫌いかで言うと、という切り口でジャッジしようとしたのではあるまいか」の書き出しに、ドキッとする。そんなに不遜であったか、このお題は。いや、不遜だな。間違いなく不遜だ。よのなかを好きか嫌いかに二分しようだなんて、そしてそれをお題というかたちで人に押し付けようだなんて、ぶしつけにもほどがある――なんて思いながら読みすすめると、どうやら今回は私のことではなかったらしい。ほっとする。

 それにしても、この話はいったいどこまで本当なのだろう?平川さんが書くと、本当と空想の隙間に足が挟まったみたいな妙な気分になる。この女性のことはきっと、私も好きか嫌いかで言うと「かなり好き」だ。

 

 tweetでタイトルを見た瞬間、「やられた…」と思った。なんて素敵なのだろう。それぞれの方法で「好きか嫌いかで言うと」が打ち返されてきたなかで、想像もしないものだった。この打ち返し方は自分には無理で、同じお題を他人に書いてもらうというのはこんなに面白いことなのだなあと実感する。

 ときどき回想のよぎるお洒落な映画を観ているようで、一回読んで、二回目を読んでもう一度タイトルを見てなんだかちょっとだけ泣いてしまいました。名言が生まれているよ…。

 

  

 

  ちなみに、森のエントリーはこちら(苦くて苦い - モリノスノザジ)でした。

 第一期と比べると少なめのご参加でしたが、まさに少数精鋭という感じで、読みながらなんだか感動してしまいました。では、次回のゲリラさんもお楽しみに!