モリノスノザジ

 エッセイを書いています

はじめてのゲリラ

 休日に一歩も外へ出ないのは気持ちが悪いと考える人々がよのなかにはいるらしく、そんな人に私の長期連休を代わりに過ごしてみろと言えば拷問だと感じるかもしれない。長い休みになると、その程度には、どうすれば極力外へ出ずに過ごせるかってそればかりを考えている。まるで、外の世界には凶悪で危険な未知のウイルスがうようよしていて、玄関の外に一歩でも出ればたちまち汚染されてどうにかなってしまうSFの世界に住んでいるみたいに。家のなかは平和だ。今のところ。

 

 それでもこの連休は私にしては外に出たほうで、初日は人に会う用事があって半日外出していたし、二日目は映画館にいって『TENET』を見た。三日目と四日目は家にこもって、完結したドラマを流しながらだらだら家事を片付けたり、『TENET』つながりでクリストファー・ノーラン作品をいくつかまとめ見たりした。アクション映画はたいてい主人公よりも相棒やチームメイトのほうを好きになる。仲間だと思っていた登場人物に裏切られると私も悲しいし、逆に、一緒に作戦をやり通して迎えたエンディングでチームメイトに感じる愛しさは(きっと)主人公と同じくらいだ。

 

 そして、私がちょうど映画館で『TENET』を見ていたころ、「ここ」でもひとつの作戦が実行されたのでした。作戦内容は極秘のまま実行したお題企画第一回目。今回は「作戦」というテーマで、以下の9名の方が参加してくださいました。このブログのほかに出会えた企画記事はあったでしょうか?

 

第一回「ゲリラブ」参加記事一覧           

 同じく18で一人暮らしを始めたときのことを思い出した。これまでほとんど勉強しかしてこなかった子どもになんの荷物もないとはいえ、入学式前日に引越しをするというわけにもいかず、一人暮らしの家に引っ越してからしばらくの間、だれも知ってる人のいない土地で一人で暮らしたのだった。そのときの寂しさを思い出すと、半年間大学に通学できないというのは、それなりに、こたえるものがあるのだろうなあと思う。

 秋からようやく大学での対面授業を迎える007F89 (id:AOblue)さんは、これから出会うであろう友人と楽しい時間を過ごすための作戦を練ってくれた。秋学期って、10月からかなあ…。検討を祈る!

 

 自分でお題を設定しておきながらなかなか書けず、私も前日まで頭を抱えていたのだ。参加を表明してくれたほかの方々のこともさぞ困らせているに違いない…とは思っていましたが、柑橘類(id:citrus4696AppLe)さんにも悩ませてしまったようです。

 しかし、missionってなんだ?という問いの果てにひとつの境地にたどり着いたようでもあり?

 

 女の人はずるいな、と思うことがある。特に、自分に魅力があるって自覚している女の人。それは容姿の問題に限らず。あ、これは相手の思うままだって気づいたときにはもう後戻りできなくて、そもそも後戻りしようというつもりもなくて、からめとられたことに気がつかないふりしてずるずる落ちてしまう。

 いま、この歳でこういう恋ができるかなっていうとなんだか難しいような気もして、何なのだろう。読みかえせば再び甘酸っぱい気分になってしまって(でも私の場合、酸っぱいのほうが多い)、これがS(id:odanoura)さんの作戦だったのかもしれない。

 

 四日間も休みがあるというのはいいものだ。普段やりたかったこともやりたくなかったこともぜんぶ、やることもできるしやらないこともできる。遠くに出かけてみたり、反対に何もしないでみたり。「この時間が無駄になってもいいな」って思える時間の過ごし方ができるのは、長期連休の恩恵だ。

 「この四日間、私が浪費していいのは酸素だけである。」という蟻迷路 (id:arimeiro) さんの四連休。残りの三日間が果たしてどんなお休みだったのか、気になるところです。

 

 合コンは戦いらしい。…「らしい」というのは、伝聞だ。私自身は参加したことがないので。でも、そういった伝聞からしか情報を得ていない私にも、合コンは戦いであるということの意味は分かる。男も女も互いに、他の同性の仲間たちをときには出し抜いて、いかに好条件な相手をゲットするかということに心を燃やしている。

 戦いは合コンの前から始まっているのだろうけれど、いざ戦場に立ってからのスリルあふれる戦いぶりを報告してくれたのは日照ノ秋人 (id:hiderino-akihito)さん。それにしても、状況に合わせて戦略を切り替えるそのきめ細やかさに脱帽です。

 

 将棋の雌雄が決する瞬間は、いつみてもふしぎなもので、負けたほうが自ら「負けました」と言うのだ。勝ったほうもそれを聞いてぐったりしたり天井をみつめてみたりするものだから、一見したところどっちが勝ったのかよくわからない。審判もいない。

 悔しいけれど今回は、私が「負けました」と言わざるを得ない。このお題を決めたとき、このテーマで一番くだらないことを書いてやる!と心に炎を燃やしたというのに、カメさん (id:tn198403s)のブログを読むや否や私が負けたことを悟ってしまった。「くだらない」というのは、もちろんいい意味で。

 

 …みてください。一杯食わされたもんですよ。

 平川三十 (id:kuriguri)さんの書くものを私はある意味において信頼していて、私が手ぶらでぼんやりお茶しているときにも、きっちり、着実に仕事をこなしてくれる頼れる相棒みたいな感じがある。その仕事の状況や結果について、私は知らされる必要すらない。

 まあそういう相手に罠にはめられるのはお約束でもあるんだけど、こういう展開が「お約束」であるっていうのは…まあ、意外と悪くないものだってことなのかも。

 

 とうつき (id:toutsuki)さんがこのお題をどう料理されるのか、ちょっと気になっていました。私のように邪悪で姑息な生き物は常に「作戦」を考えながら生きているものだけれど、とうつきさんの「作戦」はいったい?

 自殺は、できればしないほうがいいと思う。それは、死んでしまったらやり直しがきかないからです。ほかの行動であればたいてい、後でその判断が正しかったのかどうか検証が聞くけれど、死ぬのはそうはいかない。だから、私は私を生き延びさせなければならない。

 …なんて大げさなことを言うみたいですが、人間はほんのちょっとしたことで死にたくなるし、死にます。だから、自分を大切にするための戦略とか、自分を見失わないための芯のようなものが必要なのかもしれません。

 

 敵に打ち勝つには、まず敵を知るところから。いつか「モンスター」に変身してしまうのでは…と危惧したかい汰 (id:rubbis_h_eap)さんは、そのモンスターの姿を念入りに分析することを試みます。結論やいかに。

 悔やまれることに、かい汰 さんのブログを今まで知らなかったのですが、なんだかとてもツボが似ているような気がします(笑)。

 

ということで

 ということで、9名の方が参加してくださいました。お題も謎、日時も不明という謎企画に志願してくださった勇気に感謝です(笑)。今回参加をためらわれた方も、次回ご検討いただければと思います。また、今回連絡手段の不備で、志願連絡をいただいたにも関わらず森が対応できなかった方がいらっしゃったようです。申し訳ありません。連絡方法については次回までに見直したいと思います。

 

 宝探しのようなゲームをしたいです。宝物はいつ、どこにあるかわからない。何が宝物かもわからない。前に宝物があった場所をもう一度訪ねてみたらまた見つかるかもしれないし、今度はないかもしれない。そういうふうに、ブログをめぐる楽しさをつくれたらいいなあと僭越ながら思います。

 だから、この企画ができるだけたくさんのブログに広まればいいなあと思いますし、今回参加してくださった方が次回参加できなくても、それはそれで面白いと思っています。

 ブログって楽しいものですね。たぶん、もっと、楽しくなりますよ。